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高麗人参の代用になるものってある?

高麗人参の代用になるものとは

高価な生薬である高麗人参は、安価なもので5000円前後、品質の良いものは数万円から数十万円もするためお財布に優しくありません。
いくら健康に良くても経済的な負担に耐えられなければ摂り続けることはできないでしょう。即効性のある西洋医学の薬とは異なり、漢方など東洋医学で使われる高麗人参は効き目が穏やかで副作用が少ない代わりに、効果を実感するためには長期間摂る必要があります。

では高価な高麗人参の代わりとなるものはあるのでしょうか?

代用とするからにはいくつかの条件を満たす必要があります。
高麗人参の特徴と言えば滋養強壮作用、疲労回復作用、血流改善作用、免疫力向上作用、抗ストレス作用といった優れた効果効能です。
強い抗酸化作用を持つのも大きな特徴です。さらに有効成分に類似性があることも欠かせない条件です。高麗人参にさまざまな効果効能をもたらしているのは、サポニンの一種であるジンセノサイドです。
高麗人参の代用とするためにはジンセノサイドに近い働きをする成分が含まれている必要があります。生薬として漢方薬などに活用されていることも不可欠な条件です。

この条件を満たす高麗人参の代用品は同じウコギ科の多年草である「田七人参」「西洋人参」「竹節人参」です。これらは高麗人参と同じく薬用人参と呼ばれています。効果効能を見ても有効成分を見ても高麗人参に近いのが特徴です。

田七人参

田七人参の特徴

田七人参はウコギ科ニンジン属の多年草です。成長すると高さ30~60cmほどまで伸び、根全体が太く倒円すい形または円柱形をしていて、こぶのような突起があります。
根は黒褐色をしていて表面はゴツゴツとし大きさは石ころほどで、生姜のような見た目をしています。とても固いため生では食べることができません。
茎は3つに分かれ、葉は7枚あることから「三七人参」と呼ばれることもあります。成長までには3~7年かかり、収穫をすると土から栄養分が失われてしまうため、10年間は作物が全く育たないほど痩せてしまうと言われています。
田七人参の大きさは頭数という独特の単位で表します。この頭数が小さいほど大きい田七人参ということになります。生の田七人参を「生田七」、蜜蝋を添加して保存性を高めたものを「熟田七」と呼びます。

田七人参の歴史

原産地は中国雲南省や広西省で、ミャオ族などの少数民族が古くから民間薬として用いていました。しかし、高麗人参と比べると歴史が浅く漢方に用いられるようになったのは16世紀に入ってからです。
1596年にまとめられた薬学書「本草綱目」で紹介されているため、この頃には中国全土に伝わっていたと考えられています。
中国では海抜1200~1800mの限られた地域でのみ獲れ、栽培が難しいことからお金にも変えられない価値があるという意味で「金不換」と呼ばれるほど高価な生薬でした。
やがてベトナム戦争が発生すると、北ベトナム軍と支援した中国軍が止血薬として使用していたことが報道され、田七人参の存在が世界でも知られるようになります。
中国では長らく国外への持ち出しが禁じられていましたが、1979年に輸出が認められるようになると、日本でも盛んに研究が行われるようになります。
そして1990年代に入ると日本でも栽培が行われるようになります。2008年には有機JAS認証を取得し、安全で高品質な日本産の田七人参が生産されて市場に並ぶようになりました。

有効成分

田七人参には高麗人参と同じくサポニンの一種ジンセノサイドが豊富に含まれています。その含有量は総重量の7~12%を占め、高麗人参の3倍以上の量が含まれていることになります。
主成分は中枢神経を鎮静し血流を整えるジンセノサイドRb1と、中枢神経を活性化し血流を整えるジンセノサイドRg1、Rg2で、この3つは高麗人参にも多く含まれています。少量ながらジンセノサイドRa、b2、d、eも含まれています。
さらに活力の元であるアルギニン、抗酸化作用により血管を健康に保つフラボノイド、コレステロール値を下げるステロール、免疫力を高めて血流を整えるゲルマニウムが含まれています。ほかには鉄分、カルシウム、タンパク質などが豊富に含まれています。

田七人参の効果

高麗人参と共通している効果としては、免疫力向上作用、血流改善作用、肝機能改善作用があります。
免疫力を高めることで風邪やインフルエンザに罹りにくくし、病気のリスクを下げてくれます。血流が改善されることで、血栓ができるのを防ぎ動脈硬化を予防します。血の巡りがよくなることで体全体に栄養が行き届き、冷えや肩凝りを改善します。
強い抗酸化作用を持つ点も高麗人参と共通しています。それによって体内の活性酸素を取り除く働きが期待できます。肝臓は過酸化脂質という有害な物質を分解する働きがありますが、この過酸化脂質は悪玉コレステロールや血中中性脂肪が活性酸素によって酸化することで発生します。
田七人参によって血液中の活性酸素が取り除かれると、悪玉コレステロール値や血中中性脂肪値が減少し、肝臓への負担が軽減されます。その結果として肝機能を改善することができます。

また漢方で田七人参は気を体中に行き渡らせ、血(ケツ)を蓄えて量を調整し、胃を活性化させて消化を促す働きがあります。そのため肝臓や胃のトラブルの治療によく使われています。
高麗人参にもこのような作用がありますが、田七人参は滋養強壮作用が穏やかなため、高麗人参には適さないとされる高血圧の方も安心して摂ることができます。

一方、高麗人参にはない田七人参の働きには、強い鎮静作用、止血効果、消腫効果などがあります。切り傷など外傷の止血、打撲や捻挫など内出血の止血、鼻血、血尿、血便、出産による出血の止血に用いられています。
さらに神経痛や関節痛、生理痛などの痛み止め、打撲や骨折などの腫れの治療にも有効です。

西洋人参

西洋人参の特徴

ウコギ科トチバニンジン属の多年草で「アメリカニンジン」と呼ばれることもあります。中国広州や香港から輸出されていたことから「広東人参」という別名があります。成長しても高さは25cm程度と低く、根は紡錘形をしていて多肉質で重さがあります。
原産地はカナダ南部のケベック州とオンタリオ州からアメリカ北東部から南部のミネソタ、ネブラスカ、ミズーリ、アラバマの各州にかけて、肥沃な森林地帯に自生しています。

西洋人参の歴史

アメリカ先住民の間では古くから根と葉を薬草として民間療法に用いていました。17世紀末に入ると中国の人参に優れた効能があることがヨーロッパで知られるようになります。
その影響で北米でも薬用人参の存在が知られるようになります。1716年、ケベック州に住む宣教師によってカナダ南部で西洋人参が発見されます。1800年代に入ると西洋人参の薬効を知った中国の商人が野生の根を取引するようになります。
森林に自生する西洋人参の根は大きく重いため高値で取引されていました。現在はカナダやアメリカのほか、中国でも栽培されています。

有効成分

西洋人参には高麗人参と同じくサポニンの一種ジンセノサイドが含まれています。主な種類には自律神経を鎮めるジオール系のジンセノサイドRb1、Rc、Rdと自律神経を活性化するトリオール系のジンセノサイドRe、Rg1、肝機能の向上や抗炎症作用があるオレアノール系のジンセノサイドRoです。
少量ながらジンセノサイドRb2、Ra、Rg2なども含まれています。そのほかにはアミノ酸、ミネラル、ビタミンB群などが含まれています。

西洋人参の効果

生薬として漢方薬に使われる西洋人参は、優れた強壮効果を持つ点が高麗人参と共通しています。一方で高麗人参が体を温める温性なのに対して、西洋人参は体を冷やす涼性であり、強壮効果によって体力を回復させつつ中枢神経を鎮静させます。
ジンセノサイドの種類を見ても自律神経を抑制するジオール系のRb1、Rc、Rdが中心です。このため体を温めたり気力を充実させる効果はあまり期待できず、漢方では補気効果がやや弱いとされています。
ほかに高麗人参と共通する効果としては疲労回復作用、免疫力向上作用、抗ストレス作用、精神安定作用、解熱鎮静作用などがあります。肉体的な疲労を回復させ、ストレスや緊張によるイライラや気持ちの高ぶりを鎮静して精神を安定させます。
さらに近年の研究では新陳代謝を促したり、血糖値を下げたり、血中の中性脂肪やコレステロールの分解を促す働きが認められています。

高麗人参にはない働きとしては、体内の余分を熱を取ることでほてりやのぼせの改善します。このため高血圧や更年期障害の治療にも使われています。さらに体の潤いを保つ作用があり、喉の渇きを癒したり熱中症予防に効果的です。

竹節人参

竹節人参の特徴

ウコギ科トチバニンジン属の多年草で「トチバニンジン」と呼ばれることもあります。50~60cmほどの高さに成長します。
根茎は横に伸びやや太く色は白く、竹節状の節があり1年に1節ずつ増え、その形が竹の節に似ていることからこの名前で呼ばれるようになりました。
地上の茎、葉、花は高麗人参と似ていますが、地下に張った根はかなり異なる形状をしています。高麗人参は根の部分を生薬として使用しますが竹節人参は根茎を用います。
日本では北海道、本州、四国、九州の広い地域に自生していて、山間部のやや日陰を好み木の下に生える日本特産のニンジンです。
中国では四川省に自生していると言われていますが、日本の竹節人参と同じ植物であるかどうかははっきりとは分かっていません。

竹節人参の歴史

竹節人参の歴史は比較的浅く、日本で発見されたのは17世紀に入ってからです。江戸時代初期の寛永年間、日本に帰化していた中国人の何欽吉という人物が薩摩で発見し、それがきっかけで漢方に使われるようになったと言われています。
中国では1765年にまとめられた薬学書「本草綱目拾遺」に日本産の人参として東洋参という名前で紹介されています。

有効成分

数種類のジンセノサイドが含まれているほか、チクセツサポニンと呼ばれる竹節人参特有のサポニンが含まれています。
主な種類は自律神経の抑制、解熱作用、抗ストレス性胃潰瘍作用があるチクセツサポニンIV、肝臓の保護効果や抗炎症作用があるIVa、自律神経の抑制、精神安定作用、鎮咳作用などがあるIIIです。

竹節人参の効果

体を温める温性の高麗人参とは違い、竹節人参は体を冷やす涼性であるのが特徴です。体の熱を取り自律神経を鎮めることから高い解熱鎮静作用があり、風邪のときに摂ることで熱を冷まし咳を鎮める効果が期待できます。
一方で気力を充実させる働きはあまり期待できないため補気作用は弱いとされています。高麗人参と同じく抗ストレス作用、抗炎症作用、胃を丈夫にして消化機能を高める健胃効果が期待できます。
食欲不振、消化不良、胃の炎症、気管支炎の改善に効果的です。漢方では慢性鼻炎、副鼻腔炎、動悸、息切れなどの症状が見られるときに処方されます。

サポニンを豊富に含む大豆や黒豆は高麗人参の代用になるか

サポニンと言えば真っ先に思い浮かぶのが大豆サポニンです。抗酸化作用、免疫力向上作用、血流改善作用など高麗人参の有効成分であるジンセノサイドとも共通点がいくつか見られます。
しかし、高麗人参に含まれるジンセノサイドには毒性がないのに対して、大豆や黒豆に含まれるサポニンは全く毒性がないわけではなく摂取量に気をつける必要があります。
サポニンの過剰摂取は赤血球が破壊されることによる貧血やめまい、悪玉コレステロールと同時に体に有用な善玉コレステロールまで低下させてしまうといった副作用が指摘されています。
大豆や大豆製品はサポニン以外にも、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、プリン体などを含んでいます。大豆ばかりを摂っていると栄養バランスが偏ってしまいます。特に注意が必要なのがプリン体です。納豆などの大豆製品の摂りすぎによって尿酸値が上昇してしまうことがあります。
大豆は高麗人参のような優れた滋養強壮作用、免疫力向上作用、抗ストレス作用が期待できません。とはいえ大豆に含まれるサポニンには活性酸素を除去する働きがあり、血液の酸化を防ぎドロドロ状態からサラサラ状態に変える効果が期待できます。
またサポニンの働きではありまんが、大豆イソフラボンには女性ホルモンに近い働きをするため更年期障害や骨粗しょう症の方に適しています。とはいえ一般の大豆は薬として使われることがないため、明確な効果効能を保証するものではありません。

一方、黒豆は生薬として漢方薬に使われることがあります。黒豆の種子を天日干ししたものが生薬の「黒大豆」です。主に喉の不調や風邪のときに咳を鎮める目的で使われるほか、食中毒のときの吐剤としても用いられるため、高麗人参とは効果効能がかなり異なっています。
この黒大豆を発酵させてから乾燥させると生薬の「香し(香鼓)」になります。こちらは主に胃もたれや消化不良の改善に用いられ、高血圧、動脈硬化の改善、疲労回復にも良いと言われています。

大豆も黒豆もサポニンが含まれている点は高麗人参と共通しています。しかし、効果効能には共通点が少なく、優れた滋養強壮作用や免疫力向上作用、抗ストレス作用が期待できないことから高麗人参の代わりにはなりません。

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