マカと高麗人参の相性は?
目次
相性の良いマカと高麗人参
滋養強壮に良いことで知られる高麗人参は古くから高価な生薬として珍重されてきました。とはいえ生薬の根を購入するのはちょっと敷居が高いと感じる方もいるでしょう。
そんな方におすすめなのが高麗人参の粉末やエキスを配合したサプリメントです。小さくてどこにでも持ち運べますし、水と一緒にサっと飲むだけという手軽さが人気の理由です。
その中でもいま注目されているのが高麗人参とマカを組み合わせた「マカ高麗人参サプリメント」です。マカと高麗人参は効果効能が似ているため相性が良い組み合わせとされています。
もちろん高麗人参だけでも高い効果効能が期待できますが、漢方薬に複数の生薬が使われるように、サプリメントにも相性の良い成分を組み合わせることで相乗効果が期待できます。
マカの特徴
マカとは
マカは南米ペルーの中央に位置するアンデス山脈を原産地とするアブラナ科の多年草です。高地ならではの強い紫外線と寒暖の差が激しい気候、酸性で栄養に乏しい土壌という過酷な環境にも耐えられるマカはインカの時代から食用として栽培されてきました。
マカの栽培は10~11月に種まき、6~7月に収穫し、その後3ヶ月以上かけて天日乾燥させます。マカを栽培すると土壌の栄養分がほとんど吸い尽くされてしまうため、その土地では数年間は作物の栽培ができなくなると言われています。
天日乾燥させることで辛さが消えて甘味が増すだけでなく、長期の保存に耐えるようになります。インカの人たちは古くからマカを貴重な保存食としてきました。
代表的な栽培地としては標高4000~5000mのボンボン高原があり、空気が薄く乾燥した高地が栽培に適しています。根の部分は滋養強壮のほか、男性には精力増強、女性には更年期障害の症状の改善を目的に、薬用ハーブとして使われています。
マカの歴史
マカの歴史は古くおよそ2000年前にはアンデス高地で栽培されていました。15~16世紀に繁栄したインカ帝国では厳しい気候でも栽培できることから保存食として重宝されていました。
貴族階級の人たちの間でマカは天然のハーブとして愛用され、戦で功を挙げた兵士への褒美として与えられていたと言われています。
地元ではマカを「アンデスの人参」と呼び、優れた滋養強壮作用を持つことから家畜のリャマと少量のマカが取引されるほど価値がありました。
やがてインカ帝国は新大陸の征服を狙うスペインによって滅ぼされます。このときに騎兵隊が活躍したと言われていますが、マカを馬に与えることで高地の厳しい環境を克服したとされています。
日本では1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」でペルー政府によって紹介され、1997年にはペルーの日系法人によって健康食品としてマカが紹介されました。2000年代に入るとテレビ番組で紹介されたことでマカの優れた効果効能が注目されるようになります。
現在、ペルーでは120社ほどあるマカ輸出業者のうち40社ほどが日本と取引を行っており、日本はアメリカに次いで第2位の輸出国となっています。
マカの成分
ペルーでマカは「アンデスの女王」と呼ばれるほど栄養価が高く優れた滋養強壮作用が認められています。ロイシン、リジンなどの必須アミノ酸をはじめアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸など16種類のアミノ酸が豊富に含まれています。
カルシウム、鉄はジャガイモの倍以上、ビタミンB群をバランスよく含み、ほかには食物繊維、不飽和脂肪酸であるリノール酸、オレイン酸が含まれています。
また天日干しすることでたんぱく質の量が増え、フィトケミカルと呼ばれる植物栄養素が生まれるのも特徴です。
マカと高麗人参の効果効能
更年期障害の症状を緩和する
マカの働き
中高年女性の多くが抱える更年期障害は加齢によって女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が低下することが原因です。更年期障害を発症するとホルモンバランスが乱れて、不定愁訴と呼ばれる体調不良を引き起こします。
更年期障害の主な症状には、のぼせ、ほてり、めまい、肩凝り、腰痛、冷え、動悸といった身体的な症状と、イライラ、不安、倦怠感、うつなどの精神的な症状があります。
マカにはアミノ酸とミネラル類が、豊富にかつバランスよく含まれています。これらの栄養素は代表的な女性ホルモンであるエストロゲンに近い働きをすることから、ホルモンバランスの乱れによって引き起こされる更年期障害の症状を改善する効果が期待できます。
また女性ホルモンが減少することで骨密度が低下する骨粗しょう症を予防する効果も期待できます。
閉経した女性14名を対象に更年期障害に対する影響を調べる試験では、3.5gのマカを6週間と偽薬を6週間、合計12週間摂ってもらい、血液サンプルを採取して更年期症状を評価しました。
その結果、マカを摂ることで更年期障害の症状である不安とうつ状態が改善することが確認されました。(*1)
高麗人参の働き
更年期障害によってエストロゲンの分泌量が減ると自律神経にも乱れが生じてしまいます。自律神経には緊張や興奮を感じたときに優位になる交感神経と、落ち着いてリラックスした状態に導く副交感神経があり、二つの交感神経が交互に働くことによって体の機能を保っています。
自律神経が正常な状態であれば、仕事や家事などで活発になる日中に交感神経が優位になり、目覚めから体の調子を上げていく朝の時間とリラックスさせて体と頭を休める夜の時間には副交感神経が優位になります。
ところが自律神経が正常に働かなくなると、日中にだるさや倦怠感を感じるようになり、夜になると逆に興奮や緊張を感じて体と脳を休めることができなくなってしまいます。
高麗人参に含まれる有効成分ジンセノサイドには、中枢神経を活性化するトリオール系と中枢神経を沈静化するジオール系があります。正反対の働きをする二つのジンセノサイドがバランス良く働くことによって自律神経の乱れを整えてくれます。
それによってストレスをやわらげることができ、イライラや不安、倦怠感やうつといった更年期障害の症状を緩和する効果が期待できます。
閉経した45~60歳の女性72名を対象にした試験では、二つのグループに分けて一方にはジンセノサイド60mgを含む高麗人参を1日3g12週間摂ってもらいました。
その結果、更年期指数(クッパーマン)と5段階の閉経期評価尺度(MRS)に改善が見られました。(*2)
美肌効果
マカの働き
マカに含まれるアミノ酸の一種アルギニンには、成長ホルモンの分泌を促す作用があります。成長ホルモンは「若返りホルモン」と呼ばれることもあり、肌のターンオーバーを促進する働きがあり美肌効果が期待できます。
ターンオーバーは肌に溜まった老廃物や紫外線などの外的刺激によって作られたメラニン色素を排出する役目を担っています。通常は28~56日程度でターンオーバーが行われますが、25歳を過ぎたころからターンオーバーの周期が遅くなり、これがお肌の曲がり角です。
40歳を過ぎると45日程度かかるようになります。ターンオーバーに時間がかかると肌表面の角質層がなかなか剥がれ落ちなくなり、ゴワゴワと固い肌になり見た目が老けて見えるだけでなく、肌荒れやニキビの原因になります。
ターンオーバーが促進されると、皮下組織によって作られた新しい細胞に押し出される形で角質層が剥がれ落ち、美肌を保つことができるようになります。このときにメラニン色素も一緒に排出されるため、日焼けによって作られるシミやソバカスを予防することができます。
ほかにもマカには紫外線によって受ける肌のダメージと、メラノサイトによって作られるメラニン色素の産生を抑える働きがあり、紫外線から肌を保護する効果が期待されています。
高麗人参の働き
ジンセノサイドには血流を改善する作用があり、毛細血管を拡張することで血の巡りを整えて血栓ができるのを防いでくれます。血管は全身に栄養を届ける大切な役目を果たしています。
血流が改善されることで、皮下組織に張り巡らされた血管にも栄養が運ばれるようになります。それによって皮下組織の代謝が活性化されてターンオーバーを促すことができます。
さらに血行が促進されることで顔色が良くなり、肌のくすみが消えるため美肌にも繋がります。
アンチエイジング効果
マカの働き
抗酸化作用を持つマカには、加齢や生活習慣が原因で体内で増えた活性酸素を取り除く働きが期待できます。脂質異常や高血圧によって血管内で活性酸素が増えると、血液中の中性脂肪やコレステロールが酸化して過酸化脂質に変わります。
この過酸化脂質は新たな活性酸素を作り出すため悪循環に陥ってしまいます。また悪玉コレステロール(LDL)が酸化して作られる過酸化脂質は動脈の壁に沈着しやすく、血液の流れを悪くしてしまいます。
このように血管内の活性酸素によって過酸化脂質が増加すると、血液がドロドロになり、血管は厚く硬くなり血管内を狭くしてしまいます。やがて血栓が作られて動脈硬化を引き起こします。
マカの抗酸化作用によって血管内の活性酸素が取り除かれると、動脈硬化やそれによって引き起こされる狭心症や心筋梗塞を予防し、血管を若々しい状態に保つことができるようになります。
高麗人参の働き
高麗人参にも強い抗酸化作用があり、血管内や皮膚細胞で増殖した活性酸素を除去する効果が期待できます。それによって血管や肌の若々しさを保つことができます。
また高麗人参に含まれるジンセノサイドRk3、Rh4、Rf1には認知機能を改善する作用が認められており、記憶力を向上させて老化による脳の衰えを抑える効果が期待できます。
さらにジンセノサイドRCには脳の神経細胞死を防ぐ働きがあり、ジンセノサイドPPDには記憶障害を回復させる効果が期待されています。
ダイエット効果
マカの働き
成長ホルモンの分泌を促すアルギニンは肌のターンオーバーを促すだけでなく、新しい筋肉を作る働きがあります。筋肉が増えると基礎代謝が向上するため、太りにくい体質に変えることができます。
さらに成長ホルモンには体脂肪を分解することで脂肪の燃焼を促す働きがあります。マカを摂って運動することで、効率よく脂肪が燃焼されるため、ダイエット効果が期待できます。
高麗人参の働き
高麗人参には体を温める働きがあり発汗を促してくれます。また胃腸の働きを活性化する働きもあり、消化機能を高めて食べ物の消化吸収を促してくれます。これらの働きによって基礎代謝が向上するため、運動前に高麗人参を摂ることでダイエット効果が期待できます。
精力増強と男性機能改善効果
マカの働き
中高年世代を中心に精力減退やED(男性機能不全)に悩む男性が増えています。これは加齢によって男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が低下することで引き起こされます。
個人差はあるものの概ね30歳を過ぎるとテストステロン値が少しずつ低下していき、50歳前後になると大きく低下します。テストステロンが大幅に減少すると性行為が出来ないなどの症状が現れるようになります。
また年齢を重ねると精子の数と精子の運動量も減少していきます。この現象は中高年世代だけではなく、環境の変化や生活習慣の悪化が原因で若者に現れることがあります。
特にEDは男性にとって強いコンプレックスとなるため、誰にも相談できずに一人で悩みを抱えてしまう方が多いと言われています。このような精力減退やEDを改善するためにはテストステロン値を上げる必要があります。
マカにはホルモンの分泌を促してバランスを調整する作用があり、男性の精力増強に効果的です。さらにマカには亜鉛とアルギニンが豊富に含まれています。
精子の生成を促す亜鉛と、精子の材料となるアルギニンによって、精子の数を増やす効果が期待できます。また男性の不妊症に対しても効果が期待されています。
21~56歳の男性を対象にマカの性的欲求に及ぼす影響を調べる試験では、1500mgまたは3000mgのマカを12週間摂ってもらいました。
4週間後、8週間後、12週間後に、性的欲求に対する自己認識とうつ病の診断と不安の度合いを測るハミルトンテストのスコアを測定しました。
その結果、マカを8週間から12週間摂ることで性的欲求が高まること、それがハミルトンスコアの変化によるものではないことが確認されました。(*3)
24~44歳の健康な男性9名を対象に精液量を調べる試験では、マカを1500mgまたは3000mg含む錠剤を4ヶ月間摂ってもらいました。
その結果、性ホルモンに影響を与えることなく、精液量と精子数、運動性精子数が増加することが確認されました。(*4)
高麗人参の働き
高麗人参には精力を高める直接的な働きはありません。しかし、男性機能の改善には精力を高めるだけではなく、体全体の健康を増進する必要があります。
優れた滋養強壮作用と疲労回復作用を持つ高麗人参を摂ることで、体力気力が充実して疲れを感じにくくなり、疲労が蓄積されるのを防いでくれます。
高麗人参を摂ることで健康で丈夫な体が作られると、活力ある生活を送ることできるようになり男性機能の維持と改善にも効果的です。高麗人参には間接的な働きによって精力増進とテストステロンと精子数を増加させる効果が期待されています。
また自律神経のバランスが整えられることで、ストレスによる不安や緊張、過労や睡眠不足といった心理的要因で起こるEDを予防、改善する働きも期待できます。
韓国の延世大学が90名のED患者を対象に行った試験で、高麗人参を摂ったグループでは、硬直度、性欲、満足度が60%以上向上したことが報告されています。(*5)
神戸大学が行った試験では、乏精子症患者のグループに高麗人参の抽出物を3年という長い期間摂ってもらいました。その結果、精子数は70,8%、精子運動率は66.6%増加することが確認されました。(*5)
副作用が少ないマカと高麗人参
天然食品であるマカと高麗人参は副作用が少ないのが大きな特徴です。天然のハーブであるマカには副作用がほとんどありません。
ただしマカの過剰摂取は、ホルモンの分泌量が増えすぎてしまいホルモンバランスの乱れに繋がってしまいます。サプリメントの場合は体内に吸収されやすいように作られているため用法と用量を守りましょう。
一方の高麗人参は毒性が極めて少ない植物です。古くから生薬として漢方薬に用いられてきましたが、即効性がある代わりに副作用のリスクがある西洋薬とは違って、漢方薬は即効性がない代わりに副作用が少ないのが特徴です。
効き目が穏やかなため体への刺激が少なく、持病がある方や虚弱体質の方でも安心して摂ることができます。どちらも植物性のため稀にアレルギーを引き起こすことがあります。食物アレルギーのある方は念のため医師と相談してください。
*1 参考元:Beneficial effects of Lepidium meyenii (Maca) on psychological symptoms and measures of sexual dysfunction in postmenopausal women are not related to estrogen or androgen content.
*2 参考元:Effects of red ginseng supplementation on menopausal symptoms and cardiovascular risk factors in postmenopausal women: a double-blind randomized controlled trial.
*3 参考元:Effect of Lepidium meyenii (MACA) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men.
*4 参考元:Lepidium meyenii (Maca) improved semen parameters in adult men.
*5 参考元:高麗人参(朝鮮人参)<紅参>が「強精」に効果を発揮|金氏高麗人参(株)研究開発室